フランスの医療保険・Carte Vitale申請で詰まったこと

一般的な申請の流れや必要書類については他のブログなどを参考にしてください。

私はパリでの申請でした。

 

夫婦揃っての申請でしたが、引っかかったのは妻のぶん。

 

CPAMとの何度かのやり取りの末、下記を要求する書面が。

 

「出生証明書と婚姻証明書、

その(日本語)原本に法定翻訳家による仏語訳を付したもの」

 

日本政府が一般的に発行する証明書としては、戸籍謄本写し、がその両者を兼ねる形になるのでパリ近郊でその法廷翻訳をお願いし付したものをコピーしてCPAMへ郵送するも、2ヶ月経っても返事がこない。アポスティーユはもちろんつけてあり、そこもコピーした。

 

近所のCPAMオフィスで担当者に尋ねると、

「2種類が必要と書いてあるから、日本語の書類が2通ないとダメだ」

という目が点になるしかない答え。

 

日本ではこの戸籍謄本という1つの書類がその2種類を兼ねているんだ、

といくらいってもダメ。

 

日本大使館に相談したところ、

婚姻届受理証明と戸籍抄本写し、の2種類を出してみては、

とその通りやるのも腹立たしく感じる助言を頂く。彼らは悪くない。

 

きっとあのオフィスの担当者が変な人だったのだろうから、と思い

ダメ元のつもりで、同じ翻訳付き戸籍謄本写コピーに「日本ではこれがその2種類を兼ねているんだ」と一筆書いた書面を付し、翻訳書面には丁寧に naissance などに蛍光ペンを引いたりして郵送したところ、意外にも通りました。

 

ご参考まで。

フランス・パリへポスドク留学するにあたりMSCA-EF-IFに応募した件について

貴重な経験でしたので記録します。

 

自分は、

・国内バイオ系ポスドク4年目の5月に翌年春以降の研究留学が決まる

・海外学振の施設内締切(3月末)は終了している

・よって民間やヨーロッパのポスドク給料向けグラントを探そう

という流れでした。

 

海外学振って春締切・翌年春以降支給だから留学2年目以降として使い易いスケジュールですよね。なので1年目のサラリーをどうするか、が問題です。

国内のグラント(上原、内藤など)は誰かが書いてるでしょうから省略。

 

EUの学振みたいなものだけどEU内へ留学するnon-EU citizenも応募できるのが、

Marie Skłodowska-Curie Actions: Individual Fellowship (MSCA-IF)

Individual Fellowships (IF) - European Commission

です。

細かいですが、European Fellowship (EF、ヨーロッパでこれから研究をする人)の中のIFという小分類にあたります。

 

このグラントがすごいのは何と言っても助成金額。

 

2年間でざっくり、

給与4650 €/mo(国別インフレ補正あり)

+家族がいれば500 €/mo

+引越し代600 €/mo (往復14400 €)

さらに研究費として直接経費だけで800 €/mo支給。

詳しくはMSCA Guide for Applicantというpdfの最新版を探し出してください。

 もちろん競争は激しいです。

(スコア 90点以上は必要、倍率10-20倍くらい?)

 

申請の流れとしては、

 

だいたい7月までに留学を決める

→留学先のボスと実験計画を立てる

→Participant Portalでアカウントを作りテンプレートを入手する

→Suvivor's guideや可能なら以前の申請書を入手する

→10000語/25ページ(!)くらいの申請書を書く

→Participant Portalから”ボスの”アカウントで応募する(締切は9月中旬)

→最近のスコア・合否発表は概ね翌年1月最終金曜の模様

です。ね、簡単でしょ?(げっそり)

 

アラムナイのインタビューを読むと、

夏はこれにかかりきりだったとか、

準備のために3ヶ月間実験の手を止めたとか、ザラでした。EU citizenでさえ。

 

申請書は大きく分けて2部構成。

 

Part A:これが20ページ超える。

 Excellence:

  問題提起、

  研究計画,

 Impact:

  期待される研究の学問的・社会的意義、

  申請者のスキル・キャリアアップ、

  留学先施設と共有されるスキル

 Implementation:

  実行計画。ガンツチャートを駆使して具体的に。

Part B: 倫理面は実験動物の使用予定数など詳細に。Part Aに比べると型通りという感じ。

 履歴書

 留学先施設の設備

 倫理的諸事項(チェックシートが別に入手し引っかかる部分について説明する)

 

重要なこととして、

"EU視点で意義を強調する"

"助成の受益者(beneficiary)はあくまで留学先施設"

(申請者への給料や研究費をMSCAが肩代わりするから?)

 

もちろん業績も大事のようですが、

評価者には詳細な評価項目が配られておりそれらについて"もれなく"良くアピールできていることが重要のようです。

 

Suvibor's guideを見ながら書いても良いですが、

Evaluation sheetも公開されていますので、一読を進めます。

日本の関連機関も見習っては...

 

Suvivor's guideは色々あるようですが、

公式にも推奨されているNet4mobilityにあるものを自分は使いました。

NCP Doc: Net4Mobility

これのおかげでトンチンカンな記述をだいぶ減らせたと思います。むしろ無いと無理。

このサイトにあるEF-IFに関するものはひと通り参照を勧めます。

 

その他のEU留学向け助成金のリストはEURAXESSで公開されています。

https://euraxess.ec.europa.eu/sites/default/files/domains/japan/funding_guide_japanese.pdf

 

20180107: 誤記修正、追記